makaran宝箱

時事ネタ・法律・エンタメなどなど、様々な話題を分かりやすく&面白く味付けしてお届け!

【時事ネタ】「盗めるアート展」と「バンクシー」

先日、ちょっと変わった展覧会があり、ニュースになっていました。

その名は「盗めるアート展」です。

www.huffingtonpost.jp(2020/7/10)

 

普通の展示会・展覧会の場合、来場者が作品に触れることはNG。見るだけです。

即売会を兼ねている場合は、気に入った作品を購入できます。が、それでも「引き渡しが行われるまで」は、購入者といえども接触困難or禁止。これが基本です。

 

しかし、この「盗めるアート展」は違います。

「展示作品を、来場者1組に1つだけ、無料持ち帰りOK」
「作品を持ち帰らず、見るだけでもOK」

「展示作品が全て持ち出された時点で、催しは終了」

こういう特殊ルールの展示会。前代未聞です。

 

------------------------------------------

 

この奇妙な展示会が開催された裏には、「主催者がキッチリ考えた理由」があるそうです。

前代未聞のコンセプトですから、注目を浴び易くなります。
盗難が前提ですから、警備員不要で人件費削減。
また、「盗まれるよと前もって芸術家に伝えておけば、どんな作品が出来上がるのか?」という点にも興味を引かれたとのこと。

 

この展示会の話は、たちまち大きな反響を呼びました。

新型コロナウイルス騒動で、開催が一度は延期になった為、「おあずけ状態」になって話題性が増したという面もあります。

「ルパンの格好で盗みに行っていいか?」「お宝は頂いた…という書置きを残していいか?」等の問い合わせも多く、芸術作品展示会というよりも「お祭りイベント」的な受け取り方をされた人もいて、開催前から大盛り上がり。

 

そして、いよいよ開催当日。

主催者サイドは、「大きな話題になっていたので、恐らく短時間で全作品が無くなるだろう」と予測。

 

その予測は、大当たりでした。と言いますか、展示会開始の数分後には、全作品が無くなっていたとのこと。

主催者予想の、斜め上を行く結果に。

www.j-cast.com(2020/7/10)

 

------------------------------------------

 

更に言えば、

「メルカリ等のフリマサイト・アプリに、展示会の作品が出品されていた」
「中には、本当に展示会に出された作品か分からない、怪しい出品もあった」

とのこと。

www.itmedia.co.jp(2020/7/10)

 

ここまで来ると、「この騒動も、展示の一部なのでは?」と疑いたくなってしまいます。

「盗んでOKとなれば、人はどこまで醜くなるのか?」というテーマの作品…と、言えないこともない。

もしそうであれば、人の本性を暴くという意味で、奥の深い芸術イベントです。

 

------------------------------------------

 

この「盗めるアート展」と同じく、奥の深い路線を走る芸術家がいます。

正体不明で神出鬼没の作家バンクシーです。

Casa BRUTUS(カーサ ブルータス) 2020年 3月号 [バンクシーとは誰か?](提供:Amazon

 

バンクシーの作品は、ちゃんとした絵画から落書きに至るまで、様々なものが発表されています。

その内容・作風は、「社会風刺や皮肉をタップリ盛られたもの」が多い。

 

その中で最も有名な作品の一つが、「シュレッダー絵画」です。

この作品は、「少女と風船」のタイトルで発表された絵画であり、オークションハウスの老舗・サザビーズで競売にかけられていました。最終落札価格は、1億5000万円。

しかし、落札が決定した途端、バンクシー自ら額縁に仕込んだシュレッダーが起動し、絵画を裁断してしまいました

いきなりの出来事に、慌てるオークション会場。それはそうです。1億5000万円の絵が、誰も予想しなかった形で台無しになってしまったのですから。

 

 

実は、ここまでが「バンクシーの作品」だったのです。

オークション参加者は、芸術作品のどこに価値を見出すのか?…を問いかけた作品と言えるでしょう。

バンクシーらしい、皮肉の効いた終幕でした。

 

なお、この騒動には「2つの意外なオチ」がありました。

ひとつは、「バンクシーの仕掛けたシュレッダーが上手く作動せず、中途半端なところで裁断が止まったこと」です。バンクシーは、絵画を完全に裁断するつもりだったそうですが、途中で止まり暖簾の様な状況になってしまいました。

もうひとつは、「この裁断騒動により、作品の価値が落ちるどころか、寧ろ上がった」ということ。バンクシーらしさ満載のオチがついて、逆に評価が上昇した模様です。

www.cnn.co.jp(2018/10/24)

 

------------------------------------------

 

「盗めるアート展」も「バンクシー作品」も、どちらも「商品としての芸術」を追求した様には見えません。

両者は、「芸術を通して見えてくる、人間の本質」をテーマにしたものでしょう。

 

特に「盗めるアート展」の方は、何かと問題になり易い「転売ヤー」「フリマサイト・アプリ」までをまとめて皮肉る結果になっています。完成度が高い。

これで、「盗めるアート展に出ていない偽物」を出品した転売ヤーが、詐欺罪あたりで警察に御用となれば…更に完成度が高くなるかも知れません。

 

芸術作品は、物事の本質に忠実たるべし。

 

 

--------------(記事了)--------------

 

 

バンクシー アート・テロリスト (光文社新書)

バンクシー アート・テロリスト (光文社新書)

  • 作者:毛利 嘉孝
  • 発売日: 2019/12/17
  • メディア: 新書
 
バンクシーを読む (TJMOOK)

バンクシーを読む (TJMOOK)

  • 発売日: 2020/03/10
  • メディア: 大型本