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【ガンダムの話】『オルフェンズ』は、ちょっと複雑で異質(3)~少年兵と改造手術

前回記事の続きです。

テーマは、機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の世界観を、分かり易く説明する…です。

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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』(以下『オルフェンズ』と表記)は、2015年から2016年にかけて放送された、ガンダムシリーズのひとつ。硬派で面白い作品ですが、従来の作風とは異質であるため、「分かり難い」と仰る視聴者もいらっしゃいます。

そんな方に向けて、当ブログでは「オルフェンズを理解し易くなるポイント」を紹介する記事を連載しています。今回は、その3回目になります。

 

理解のポイントは、以下の5つ。

 

【1】厄災戦と、モビルスーツガンダム

【2】厄災戦後の統治システム

【3】差別・貧困・独立運動

【4】少年兵と、阿頼耶識システム

【5】CGSから鉄華団

 

前々回・前回記事で、【1】から【3】について述べました。今回は【4】について詳しく見ていきます。

 

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【4】少年兵と、阿頼耶識システム

阿頼耶識(あらやしき)」とは、実際に存在する仏教用語です。

宗派によって解釈に違いがありますが、概ね「悟り」「知覚」に関する概念として知られています。

専門書まで出ている、仏教では外せない概念です。

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この「仏教用語阿頼耶識」から着想を得て、『オルフェンズ』世界の基本設定として作られたものが「阿頼耶識システム」です。

このシステムを一言で表現すると、
「各種マシーンと、人間の脳神経を直結させ、通常では不可能な操作・操縦を可能にする」
というもの。

 

こう書くと、『新世紀エヴァンゲリオン』みたいに「こうしろと考えるだけで、自由自在に兵器を操作できる」という姿を思い浮かべる方もいらっしゃるでしょうが…そこまで凄くはありません。

が、普通に操縦桿をいじって戦うというものに比べれば、全然違います。何せ、モビルスーツからの情報を、直接パイロットの体内に取り込み、操縦に反映させるのですから。

阿頼耶識システムの有無で、機体の反応速度が段違い。文字通り「感覚的に」操縦することが可能です。

 

また、脳神経とモビルスーツとの間で・直接的な情報交換も可能であるが故に、文字が読めない者でも操縦法を理解できます。

その為、阿頼耶識の無い者と比べれば、訓練時間が短い。
(実際、主人公の「三日月・オーガス」は、初めてガンダムに乗った直後に、敵を圧倒していた)

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 (上画像:『オルフェンズ』の主人公「三日月・オーガス」)

 

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パイロットにとっては、良いことだらけに見える「阿頼耶識システム」。

しかし、このシステムは、さほど普及していません。それはなぜか?

原因は、いろいろあります。

 

先ずは、手術に問題があります。

阿頼耶識システムを使うには、体内にナノマシン(細菌レベルの小さな機械)を注入し、背骨に電極を埋め込むという手術を受けねばなりません。この成功率が低い。

手術法は、元々300年前の戦争(厄災戦)の時に生まれたもの。ですが、戦争の影響で情報の喪失や隠蔽が発生し、手術データが完全に残ってはいないのです。結果、中途半端な技術や設備で手術を行う為、成功率が下がります。

もし失敗した場合、良くて一生寝たきり。悪ければ死亡。

 

手術できる年齢にも、制限があります。

体内に入れるナノマシンは、成長しきった人体には定着しません。その為、年端もゆかぬ少年少女にしか手術ができません。

 

世論の抵抗もあります。

阿頼耶識の電極は、背骨から体表に突き出ている為、見れば分かります。これを「ヒゲ」と呼び、阿頼耶識使いを「薄汚い宇宙ネズミ」と呼んで差別する者が多い。

これは、阿頼耶識が「非人道的&非合法な手術」として規制されていることの裏返し。「汚らわしいものとされているから」という理由で蔑む、典型的な差別です。

 

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こういう「嫌な理由」が存在する為、阿頼耶識の手術を受けるのは…というか「無理矢理受けさせられる」のは、身寄りの無い少年兵や、ヒューマンデブリと呼ばれる奴隷階級の年少者ばかり。

 

阿頼耶識そのものが差別のネタであり、手術を受けるのも弱い立場の者だらけ。

手術を受けて成功すれば、「四本腕のモビルスーツ」とか「尻尾の生えたモビルスーツ」等、戦闘力の高い機体を操ることができます。が、そこまでしても、人としては差別される側。

高い能力を持つのに、差別される。人間社会の闇です。

 

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 (上画像:『オルフェンズ』に登場するガンダムのひとつ「グシオン」)

 

『オルフェンズ』の最重要テーマは、実はここにあります。

「差別される側が、成り上がろうと足掻く」

 

 

その象徴が、「鉄華団(てっかだん)」という民間軍事会社なのですが…詳細は次回記事にて。

長くなるので、本日はここまでとさせてください。

 

 

-----------------(記事了)-----------------

 

 

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