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【テレビ業界の話】自業自得の人手不足

新型コロナウイルス騒動の余波が、各方面に広がり続けています。

芸能界や放送業界でも、その影響は深刻。とうとう、放送局そのものが機能停止する羽目になりました。

www.nikkansports.com(2020/4/15)

テレビ朝日が17~19日まで東京・六本木の本社を完全封鎖することが15日、関係者への取材で分かった。

 

同局では報道番組「報道ステーション」(月~金曜午後9時54分)のメインキャスター富川悠太アナウンサー(43)が新型コロナウイルスに感染し、現在入院中。

さらなる感染拡大を防ぐため、封鎖する3日間で全フロアの徹底的な消毒を行う。

https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202004150000741.htmlより。改行・強調等は筆者によるもの。以下同)

 

今回のテレビ朝日に関しては、突然の閉鎖ではなく・前もって予定を組んだ計画的閉鎖であり、事前に準備が可能。

また、「閉鎖期間は3日間」と短い為、倒産どうこうという話には至らないでしょう。さほど心配することではない。

 

ただ、こういう事態が連続して起きれば、放送会社が傾く可能性も出てきます。楽観視してばかりでもNG。

 

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他方、コロナ騒動に絡む問題で、「一時的な閉鎖」「計画的な対応」が難しくなるであろう…との懸念が浮上しています。

その原因は「人手不足」。特にAD(アシスタント・ディレクター)の離職率が上がっているという状況になっています。

www.tokyo-sports.co.jp(2020/4/13)

 

ADがどんどん辞めていっているんですよ。これは本当に頭が痛い。理由は、コロナの感染を怖がっているから。

たしかにロケ先で、率先していろいろやらなければならないのはAD。現地の人にお願いしたりするので、濃厚接触は避けられないし。

 

もしコロナが終息して通常モードに戻り、収録が再開された時、ADがいないという事態になりかねない。回していけるかどうか分からない

https://www.tokyo-sports.co.jp/entame/news/1814094/

 

ADとは、番組制作現場における平社員と言うべき存在。主に「現場に入ったばかりの新人さん」が、このポジションに就きます。

担当する仕事は多種多様。事前のデータ調査・現地での下調べ(ロケハン)・撮影中の雑用・撮影後の映像編集…等々、あれもこれもやらなければならない。かなり大変な仕事です。

 

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いや、「大変な仕事」という表現は、控えめなものと言えるでしょう。

業界の話をよく聞けば、「超絶ブラック」という表現が頻繁に出現します。それくらい強烈な仕事。

 

たまに「業界の裏側を暴露する本」が出たり、「ADが人間扱いを受けない…という酷い話を披露するトーク番組」があったり、ブラック認定ネタには事欠かない。それがADという職種。

 

AD(アシスタントディレクター)残酷物語―テレビ業界で見た悪夢(提供:Amazon)

(著:葉山宏孝/彩図社

 

「ADの超絶ブラックぶり」の一部を列挙すれば、

◆残業だらけで休みなし。家に帰れない。

◆4日連勤で、平均睡眠時間は2~3時間ということも。徹夜は常にある。

◆拘束時間が長いのに給料が安すぎる。時給換算したら300円だった…という話もアリ。

◆上司や出演者からの暴言&暴力が酷い。

◆制作会社(下請け)と、テレビ局(元請け)の待遇格差が酷い。

…こんな感じ。

 

この状況を逆に考えれば、「ADに不都合を押し付けることで、何とか番組制作ができている」ということになってしまいます。

AD抜きでは、番組を作れない。良い意味でも悪い意味でも。

オンエアできない!  女ADまふねこ(23)、テレビ番組つくってます (ソノラマ+コミックス)(提供:Amazon)

(著:真船佳奈/朝日新聞出版)

 

理不尽や不当を押し付けられるADにとって、この歪んだ状況は耐えがたいもの。それ故、普段から離職率が異様に高い。「ブラック職場あるある」ド真ん中です。

何もない時で、既に酷い状況。ここに新型コロナウイルスの影響が来れば、もう我慢などしていられません。元から高かった離職率は、更に上がります。

 

そして、撮影現場は人手不足へまっしぐら。

番組の質は下がり、視聴者は「つまらない」という評価を下し、CMの価値が下がり、テレビ業界の収益が減る。

絵に描いた様な「ブラック企業の悪循環」です。

 

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この状況は、完全に「業界上層部の自業自得」です。現状に胡坐をかき、理不尽な状況を放置していた業界上層部の責任問題。

理不尽を弱い者に押し付け、それでギリギリ回っていた様な業界は、予想外の問題発生で総崩れになります。

 

そして、この状況はテレビ業界に限ったことではありません。

どんな業界でも、理不尽に目をつむり・弱い者に歪みを押し付け・ギリギリの状態で回し続けた会社があります。そんな会社は、コロナ騒動の影響を受けて傾くだけではなく、裏事情が暴露されて再起不能になる恐れが高い。

 

この機会に、各組織・各業界の上層部の方は、理不尽や歪みに正面から当たって改善に向かわねばならないでしょう。

さもないと、組織どころか自分の身も危ない。それくらいに思った方がいい。

今が勝負の分かれ目です。

 

 

--------------(記事了)--------------

 

 

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  • 作者:真船 佳奈
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テレビ局の裏側 (新潮新書)

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