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【新型肺炎の話】「生物兵器流出」という陰謀論(後編)

本日の記事は、先日書かせて頂いた記事の続きになります。

いわゆる新型コロナウイルス陰謀論説」に関する話です。

www.makaranbox.com

 

中国・武漢発の、新型コロナウイルスによる肺炎騒動。

この新型ウイルスが、「実は、生物兵器として開発されたものである」との疑惑が浮上し、一部メディアで騒がれています。

上記記事では、「その疑惑がどうやって浮上してきたのか」について触れています。

 

疑惑を生んだ最大の理由は、「最初に新型コロナウイルスが発見された武漢には、危険な病原体やウイルスを研究する施設がある」というもの。

この施設内で、新型コロナウイルスが製造されたのではないか?…との疑念があり、騒動発生直後から現在に至るまで言われ続けています。

 

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問題の施設は、「中国科学院武漢病毒研究所」というところ。

あの有名な「エボラ出血熱」を始め、最高レベルの危険性を持つ病原体を研究できる施設です。

危険なものを施設外に出さないようにする為、空気の循環すら管理されている施設。施設の格付けで言えば、最高位の「バイオセーフティレベル4」になります。

 

施設名にもある通り、この施設は武漢にあります。その為、「この施設がウイルス騒動の犯人なのでは?」との説が浮上し、話題になっています。

 

この話は、有名なフィクション作品バイオハザードで描かれた内容と同じです。

バイオハザード』で描かれるのは、「最悪徳製薬企業アンブレラが開発した特殊ウイルスが漏れ・研究所や市街地が汚染され・ゾンビ状態の伝染病患者が街にあふれる」という物語。

それにちなんで、今回の武漢の様子をラクーンシティと表現する人も多い。

ラクーンシティとは、ゲーム『バイオハザード2』『バイオハザード3』等の舞台となった、架空の市の名前。悪徳企業アンブレラが金をバラ撒き、裏から支配している町という設定)

 

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この「中国科学院武漢病毒研究所」は、個人の趣味で作られたものではありません。そのバックには、中国共産党政府の存在があります。

その為、「新型コロナウイルス肺炎が蔓延したのは、中国共産党政府が原因なのでは?」という説が浮上。

要は「国家レベルの策略である」という、陰謀論が発生しているのです。


(「陰謀」イメージ画像:写真素材 cg.foto

 

この陰謀論ですが、語られる内容に違いがあり、統一されたものは見当たりません。

「増えすぎた人口を減らす為、体力の弱い者を殺すウイルスを撒いた」

という過激なことを言う人もいますし、

「ウイルス兵器を作ったが、効き目が分からないので、確かめる為に実験で撒いた」

という恐ろしいことを言う人もいます。

 

ただ、どの説にも共通している点は「明確な根拠がない」こと。

今回のケースに限らず、陰謀論は常にそういうものです。明確な根拠が皆無だとしても、怪しいと思える要素が0.1%でもあれば、陰謀論が成立してしまいます。そこが厄介。

 

 

冷静に考えてみれば、今回のウイルス騒動で一番困っているのは「中国共産党政府」でしょう。

国民から反発を喰らうし、外国からもバッシングを喰らいかねない。

何より経済的な打撃が大きい。中国の経済が弱っていることは周知の事実であり、政府が自ら止めを刺す様なマネをするでしょうか?

「実験施設で作成したウイルスを、意図的にバラ撒く」という行為は、失うモノが超巨大であり、得るものは見当たらない。

 

中国共産党政府が、自ら進んで自国民を殺した…という陰謀論は、考えにくい。

 

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他方、「発生しても、おかしくはない」という疑惑もあります。

それは、「意図的ではなく、事故でウイルスが漏れた」という説です。

この事実を隠す為に、中国共産党政府が情報隠しに躍起…という話は、無いとは言えない。これも、一種の陰謀論ですね。

 

これには、強力な根拠…とまでは言えませんが、それなりの元ネタがあります。

それは、有名科学雑誌「ネイチャー」が発表した、2017年2月22日付の記事です。

www.nature.com(2017/2/22)

But worries surround the Chinese lab, too.

 

The SARS virus has escaped from high-level containment facilities in Beijing multiple times, notes Richard Ebright, a molecular biologist at Rutgers University in Piscataway, New Jersey.

 

Tim Trevan, founder of CHROME Biosafety and Biosecurity Consulting in Damascus, Maryland, says that an open culture is important to keeping BSL-4 labs safe, and he questions how easy this will be in China, where society emphasizes hierarchy.

“Diversity of viewpoint, flat structures where everyone feels free to speak up and openness of information are important,” he says.

https://www.nature.com/news/inside-the-chinese-lab-poised-to-study-world-s-most-dangerous-pathogens-1.21487より。改行・強調等は筆者によるもの。以下同)

 

上記文章は、アメリカの研究者が「中国の研究施設は、いろいろと危険なのでは?」という懸念を述べた文章です。

その要点を、筆者なりにまとめると…

 

◆中国・北京の研究室から、SARS重症急性呼吸器症候群)ウイルスが複数回漏れた…という前科がある。

◆中国社会は、階層的要素(ヒエラルキー)が強く、しかも閉鎖的である。この社会性の下で、「バイオセーフティレベル4施設」という危険な施設を運用できるか?…疑問である。

◆「様々な意見が言える」「身分の上下に関係なく発言できる」「情報を隠蔽せず、広く公開できる」といった要素が無ければ、危険な施設を運用できないだろう。

 

…この3点になります。さすが専門家。鋭い意見です。

「ウイルス漏れ事故」という話は、根拠が無い噂とは思えなくなりますね。ありそうな話。

 

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上記3要素の中で、特に最後の意見が引っかかります。

危険な施設を運用するには、「様々な意見が言える」「身分の上下に関係なく発言できる」「情報を隠蔽せず、広く公開できる」といった点が重要だ…という意見です。

 

広く知られたことですが、中国の隠蔽体質は世界トップレベルであり、都合の悪いことをガッツリ揉み消すのは日常茶飯事。

ネットの監視・書き込み削除は朝飯前。テレビの報道番組を途中で消すという行為も平気。政府に都合の悪い発言した者を逮捕・拘束しまくることで有名。

 

言論の自由」や「情報公開」とは対極の位置にいる政府です

ネイチャー記事で指摘された「危険な施設を運用できない体質」であることは、間違いないでしょう。

 

そして、その隠蔽体質の証拠となる記事が、新規でまたひとつ出ました。

www.yomiuri.co.jp(2020/1/29)

武漢市の周先旺市長は27日、中国中央テレビのインタビューに対し、流行初期の市政府の情報公開に対する批判を受け、「遅れていた一面があった」と非を認める発言をした。

しかし、「地方政府は権限を与えられて初めて発表できるということが理解されていなかった」とも主張した。

周氏の発言は、情報公開の遅れには中央政府にも責任があるとの立場を示唆したと受け取られている。


今回の習近平政権の対応を巡っては、武漢市や湖北省といった地方政府だけではなく、衛生問題を管轄する国家衛生健康委員会に対しても初動体制について批判が上がっているとされる。

武漢市の対応では、中国誌・中国新聞週刊(電子版)の取材に応じた市内の病院医師が、病院側が初期段階の感染状況についてかん口令を敷いていたと証言し、市政府が事実の公表を抑えていたとも示唆していた。

 

2002~03年に大流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の際も、当局が死者数を隠蔽していたとの内部告発がされて以降、実態が明らかにされた経緯がある。

https://www.yomiuri.co.jp/world/20200129-OYT1T50095/

 

2002年の「SARS騒動」の時も、隠蔽が指摘されています。

今回の新型コロナウイルス騒動でも、同様の指摘があります。

そういう話が疑惑を生み、陰謀論を育てる下地になるのです。火のない所に煙は立たぬ。

 

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(まとめ)

◆「人々を殺す目的で、中国共産党政府が、意図的にウイルス兵器をバラ撒いた」という陰謀論は、恐らくデマ。

◆「武漢病毒研究所から、ウイルスが漏れた」という噂は、デマとは言い切れない側面がある。しかし、明確な証拠もない。

 

◆デマや陰謀論は、少しでも疑いの余地があれば発生する。疑いが濃ければ、信用され・拡散されやすくなる。

中国共産党政府の「隠蔽体質」や「弾圧姿勢」は、疑惑を生む温床となっている。また、被害拡大の原因にもなっている。

 

 

 

--------------(記事了)--------------

 

 

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