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時空をかけるコック その1

SFでは定番のネタですが、「オーバーテクノロジー」を題材にした作品があります。

その多くは、「未来からタイムスリップしてきたキャラクターが、未来の道具や知識を用いて、様々な事件を起こす」というもの。

 

有名どころでは、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』があります。

タイムマシーンを発明したが、そのタイムマシーンが元で歴史が変わりそうになり、改変を防ぐ為に奮闘する…という作品。

 

怖い作品では、『ターミネーター』が思い浮かびます。

未来から送り込まれた殺人ロボットが、標的をどこまでも追いかけて殺そうとする…という映画。

 

ちょっと変わったところでは、漫画『JIN~仁』があります。

現代の医師が幕末にタイムスリップし、当時の医療技術では助からないハズの人々を助ける…という作品。

 

これらの作品に共通するのは、「歴史のif」です。

「あるはずの無いものが、もしその時代にあれば、どうなるか?」という、仮想歴史を楽しめる作品ばかり。

 

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その「歴史のif」を、グルメの世界に持ち込んだ作品があります。

実写ドラマにもなった有名作、信長のシェフです。

 

(漫画:梶川卓郎/原作:西村ミツル 芳文社)

週刊漫画TIMES」で連載中の作品。2019年2月16日現在、既刊23巻。

 

 

この作品の面白い点は、「超絶な科学技術でもなく、歴史情報を駆使した戦略でもなく、いつの世にもある”食事”について取り扱うところでしょう。

 

題名から分かるとおり、舞台は日本の戦国時代。

有名な戦国武将達を始め、時の有力者達を相手に、遠い未来の料理を振舞う主人公・ケンの姿を描く作品です。

 

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話の概要を、(発行元から怒られない程度で)ザックリ紹介すると…

 

(1)物語の始まりは、1568年(永禄11年。戦国時代の終盤)の京都から。

(2)主人公である「ケン」は、平成時代からタイムスリップしてきたコック。

(3)ケンは、仲間と共に時空を超えたのだが、何か強烈なショックを受けたのか、記憶が定かではない。自分のフルネーム、仲間の名前、どこに住んでいたか、なぜこの時代にいるのか…等々、全く覚えていない。

(4)訳も分からないまま、武士に追われるケン達。武士はケン達の姿を見て、「見慣れない服を着ている奴等だ。間者(スパイ)に違いない!」と勘違いし、弓矢で攻撃。

(5)ケンの仲間が矢で射られてしまうが、仲間は叫ぶ。「ケン、お前は逃げろ!」

(6)ケンは川に飛び込み、何とか武士から逃げる事に成功。そのケンを、たまたま近くにいた鍛冶屋が保護・介抱してくれた。

(7)「助けてくれたお礼に、料理を作ります」と申し出るケン。捕獲した鰻(うなぎ)を調理しながら、ケンは考える。

(8)自分には、ここ最近の記憶は無い。自らの名前すら分からない。仲間らしき人が「ケン」と呼んでいたから、ケンと名乗っているだけだ。しかし、料理の歴史・未来の調理法・この時代に起こる事件の概要…等は覚えている。

(9)戦国時代には無いはずの、珍しい料理を作るケン。噂は広まり、京都の住民が行列を作って、ケンの料理を求める騒ぎになる。

(10)その騒ぎを聞きつけたのが、勢力を伸ばし続ける有力武将、織田信長であった。

(11)ケンの店にやってきた信長は、こう言う。「ケンよ。お主を召し抱える。断れば殺す。我が領地である岐阜に来い。」

(12)ケンは、信長からの話を受ける。鍛冶屋の元を離れて岐阜へ。

(13)岐阜に着くや否や、信長から命令が飛ぶ。「織田家の料理人とケンとで、料理勝負をしろ。より美味い品を作った方が勝ちだ。負けた方は、殺す。

(14)いきなりの命令に、血相を変えて走り回る織田家の料理人たち。一方、ケンは静かに料理を始め…。

 

こんな感じです。

 

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この作品の面白い点は、「テーマが料理で、複雑な科学技術ではない。その為、400年以上昔の世界に飛ばされたとしても、ひょっとしたら何とかなるかも知れない」というところ。

 

「マンモスのいる原始時代」まで飛ばされたならば、さすがにお手上げかもしれません。が、戦国時代末期といえば、表千家などに代表される「茶道」の原型が成立する時期です。

華やかな宴席では、コース料理や菓子なども出されていました。

アジアやヨーロッパ地域との貿易も行われており、それなりの品が手に入る時代です。

 

しかし、現代に比べれば、物資が酷く乏しい事に変わりはありません。「スーパーに売られている食品・道具の95%以上が使えない」という困った状況です。

限られた材料や道具で、どこまでの仕事ができるのか?…という点が見所です。

 

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では、戦国時代のケンが使えるものは何か?

序盤で描かれた物資の概要は、以下の通りです。

 

 

【使える調味料】

味噌、塩、酢、酒(にごり酒)、油…など。

 

【使える調理器具】

かまど(燃料は木材)、鍋、包丁、まな板、鉄板、すり鉢とスリコギ…など。

勿論、水道は存在しません。大きな水がめの中に、水を汲んで溜めておきます。

 

【使える食材】

米、人参、キノコ、鴨、大根、ネギ、ウナギ・鯉などの川魚、ゴボウ、柿、栗…など。

 

 

今から400年以上前の時代。醤油すら一般的ではありません。

砂糖も「超絶貴重品」で、将軍クラスで使えるかな?…というレベル。

ソース、マヨネーズ、ケチャップも無し。パン、ジャガイモ、サツマイモ、トウモロコシ、キャベツ、トマトなども無し。

缶詰やレトルトなんて、影も形もありません。オーブンや電気炊飯器なども同様。

 

しかし、この限られた状況でも、ケンは諦めません。

持てる技術・知識を総動員し、信長も驚く料理を次々に作っていきます。

信長は、ケンの料理を「腹を満たすもの」という枠から解き放ち、軍事・外交という高レベルの案件にも応用していくのですが…。

 

 

長くなりましたので、本日はここまで。

続きは後日。

 

 

書店リンク > 『信長のシェフ』第1巻